2015年12月31日

鬼が笑う。

「来年の事を言えば鬼が笑う」と言います。


未来の事なぞ誰にも分からないのだから、予測できない未来の事を言うと鬼でさえおかしくて笑ってしまうのだ、という昔からのことわざです。




ただ、この年末年始。


この時期だけは来年の事を考えたりしても許される気がいたしますので、


来年こそはこんな事をやるぞ! 

○月までにこのアイディアを形にするぞ!


とか、立派な目標と計画を立てて、その時は真剣な心持ちで自らに誓ったりするのですが、、、

なかなか上手くいかないものです、、。




別に怠けている訳ではないのです。



ありがたいことに忙しいのです。


ただその忙しさにかまけていると、せっかくのアイディアも進まない事も事実です。



私の場合、こういう目標やアイディアというのは、もう少し品揃えを増やしてやろう。とか、棚を新しく整理して取り易い位置に道具を置こう。とか、ホームページの文章レイアウトを変えちゃおうとか、2週間に一度はブログを更新する!とか、そういう事なのですが、、、



はやりまずは日々のお仕事。




つまりご来店頂き、お預かりさせて頂いたお客さまの楽器を治すという事をまず一番に大切にしなければなりませんので、忙しくなるとそういった事は後回しにするしかないのです。






月日というのは律儀なヤツで、こちらの都合を聞いてくれません。


こっちだって何も怠けて予定に狂いが生じている訳じゃないのですから、

予定が終わるまで、一日を28時間にしてくれるだとか、 

「じゃあお前今月はちょっとがんばったから少しおまけして今月は33日に増やしましょう」

とかしてくれればいいのですが、月日のヤツは知らんぷりで一様にたんたんと過ぎて行きます。。






時間に愚痴ったってしょうがないのですが、おそらく誰もが思うような事でありましょうから代弁してみました。





こういう場合何かに書き込むといいみたいですね。



日記でもメモでも何でも良いらしいですが、特に人に見せる事によって「見せちゃったんだから」という気持ちが働いてやる気になるそうですから、ブログやSNSを使って発信するというのは良いみたいですね。


あんまり大言壮語をやって失敗するとみっともないので怖いですけどね。



でも、あえて今年はここに書き込んでみようと思います



2016年ポルテはこうなる。




 新品の楽器の取り扱いが始まります。

  
ついに、ポルテで新品の楽器の取り扱いが始まります。

新品の楽器ならどこででも買えるとお思いになられるかもしれませんが、色々な工夫を施して販売しようと考えています。

すごく良くて、長く、安心に使える様な工夫です。 

管楽器、特にサックスは「これから音楽を始めたい」という方にぴったりの楽器です。 

【ミュージックポルテ】「音楽の扉」の名前に恥じないように、これから音楽をサックスで始めたいという方も大切にしていきたいと考えています。 






2 ホームページが新しくなります。

1にも繋がりますが、管楽器はとても高い買い物です。
一生ものです。
そしてリペアの事も複雑で分かりにくく、どのくらいの期間、費用がかかるのか?といったことも分かりにくいです。

安心してご購入いただいたり、不安に思う事なくリペアのご依頼を頂くためにも、情報を上手く公開し、わかりやすいホームページにしていきたいと考えています。






3 今までも、これからも、リペアに対して愛を。

 おかげさまで、2015年も大変たくさんのお客さまに楽器の修理のご依頼を頂きました。

楽器を自分の分身の様に思われている方も多い事と思います。

その大切な楽器をお預かりして手を入れさせて頂くということ、大変に身を引き締まる思いになります。

中には、大久保、お茶の水、という二つの楽器の街を越えてわざわざご来店頂くお客さまもいらっしゃり、本当にありがたく思っております。 

修理道具は必要に応じて自分で作ったりしていたのですが、年末にドイツへ管楽器修理道具をまとめて注文しました。

これでいままでより、よりスピーディーに対応できるようになる事が増えるはずだと道具が届くのをワクワクしながら待っています。


これまでも、これからもお客さまにとって満足のいくリペアを目指します。




と、いうことで、
思いを新たに、2016年もどうぞ宜しくお願いいたします!
 
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posted by PORTE at 15:10| Comment(0) | 日記

2015年10月21日

ベルグラーセンについて


ベルグラーセンのテナー用中古マウスピースが割と多く入荷してまいりました!

このマウスピースはジャズテナーの歴史に刻まれていると言っても過言ではないほど、多くのミュージシャンに愛用されたマウスピースなのです。

が、

現在、実はその作りの粗さや、種類の多様さ、吹いた時のピーキーさから、名前がメジャーな割に意外に売れず、楽器店としては仕入れても売れないマウスピースの筆頭として在庫が薄いマウスピースです。笑



特に種類の多さ!
ラーセンは開きの大きさのみならず、バッフルの形と大きさ、フェイシングの長さまで選ぶ事が出来るのです。


これを高い精度で行えば非常に優れた画期的システムと評価したい所なのですが、適当な精度でやると、作りの粗さでダメなのか、フェイシングが合ってないのか、開きが合ってないのか、バッフルが合ってないのか、何が良くて何が違うのかが分からなくなるという悲しい結果を生んでしまいます。


よしんば作りの粗さに目をつぶるとしても、一つの開きに対してバッフルの種類が4つ、フェイシングの長さが2つなので、合計12種類もある事になり、そしてあるならば吹いてみてから決めたいと思うのが人のさがと言うもの、、。結局買うのを見送ることになるのですが、楽器店のほうも1本のマウスピースを売るためにまさか12本仕入れる事など出来やしないので、いつまでたっても買うふんぎりがつかないマウスピースです。。笑



さらに、、時代によっても細かい箇所が異なります。

とってもややこしいのですが、こういうややこしさが逆に魅力にもおもえるのが面白いところです。



ということで、





入荷したのを気に、ラーセンについて勉強して少しまとめてみようと思います!




先生になって下さったのは最近よくお店でお世話になっている栗原健さんです。


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youtubeでラーセンプレーヤーをまとめたリストを作って下さっています!
栗原さんの動画も必見ですよ!
 https://www.youtube.com/user/kurixxatticablues/playlists




栗原さんも最近はラーセンを使用中。
栗原さんのプレイはめっちゃくちゃかっこいいですよ!ライブがオススメです。
近くでライブがあったら是非聞きに行ってみて下さい♫





さてまずは構造からまとめます

ベルグラーセンのマウスピースは、

100/ 2 / M

の様に通常3つの番号、アルファベットによって構成されており、
それぞれに対して意味があります。


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まず最初の番号。 これは開きの大きさを示します。
1インチは2.54ミリメートル。
100というのは0.100インチということです。
ミリ換算で2.54mmとなります。 
2.54mmだとオットリンクで7番あたりです。




次の数字、これはバッフルのタイプを表します。


Diagram.jpg




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1番




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2番




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3番



0=BRILLIANT、
1=BRIGHT、
2=ROUND、
3=MELLOW


バッフルの高さが違い、それに合わせて先端の形状も変わります。
番号が進むごとに大きく、太くなっていきます。また、0番と1番は写真の様にチェンバーの形が砲丸状にくりぬかれていますが、2番と3番はそのままストンと落ちています。


0番はレニーピケットが使っているとか。
2番はソニーロリンズで有名のようです。

バッフルも違うのですが、くちばしもかなり形状が異なります。



1番はこんな。


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くちばしが細いので、自然に、無意識に深く咥えることができます。 
鋭いエッジのたった音がします。レニーピケットばりに倍音で遊びたくなります。笑
彼のソロアルバムBORNEO HORNは必聴です。タワーオブパワーでの彼は仮の姿ということです。笑


2番はこんな。


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短くなっています。
サウンドもかなり太いゴージャスな鳴りです。0番とは明らかにキャラが違います。
これで演歌や昭和歌謡をやったらさまになるのではないでしょうか?ついサムテイラーのモノマネをしたくなります。




最後のアルファベットはフェイシングの長さです。



通常はM、Mといっても他のマウスピースと比べると結構長めのフェイシングのようです。
SMSはショートフェイシングです。SMSはいったい何の略なのかは調べても出てきませんでした、、、。



マウスピースの構造に明るい方であればこの数値を組み合わせてオーダーすると理想の音色が手に入るというシステムです。



なんとかビルについて


ビルというのはくちばしの意味です。

江戸っ子とアメリカ人は何でも省略したりあだ名をつけるのが好きですね。
ラーセンはイギリスのマウスピースなので関係ないですが、
主にアメリカのプレーヤーの間では『スクープビル』(スコップみたいにカーブがかかっているもの) とか 『ストレートビル』(そのままカーブがかかっていないもの) とか、
くちばしの形によって通称をしていたようです。


前述の画像を見て頂ければ分かると思うのですが、
通常バッフル2番がスクープビル、バッフル0番や1番がストレートビルに相当します。
が、中には2番でもストレートビルのマウスピースや0番でもスクープビルが存在する様です。

この通称としてのストレートビル、スクープビルの他にダックビルがあります。


ダックビルについて


フェイシング表記の横にDマークがついた「ダックビル」モデルが存在します。これはスクープビルやストレートビルと言った通称とは異なり、れっきとしたモデル名です。
リードをのせるテーブルが非常に長く、その名のとおりくちばしの様なヌーっとした傾斜をしています。



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時代について。



良く言われる事がシャンクのフェイシング彫刻の位置です。
まずここを見ると良いかもです。
ここが真ん中からずれている場合、そこそこ古いモデルです。





次にテーブル
フライス盤でついた削りキズで時代がある程度特定できます。
縄目、横線、現行のはピカピカです。
縄目より古いモデルは縦線だそうです。でもこの情報は自身がいまいちありません。
いちおう該当のモデルを見つけて写真を撮ったのですが、ちょっと情報不足です。


シャンクのBERG LARSEN 刻印が斜めのものは最古の部類に該当するはずです。


リガチャーによっても時代が分かります。

まとめたものを図にしてみました。




ベルグラーセン.jpg




図の中にも書いてありますが、
古い程良いというものでもないです。レアだからといっていい音がするとは限りません。





最近のモデルについて。


いつからか分かりませんがいつの間にかベルグラーセンのヘッドオフィスがベルギーのアントワープになっていました。工房はどこにあるのだろう。。? 

これがラーセンのホームページです。
 http://www.berglarsen.com/index.html


なにやらヴィンテージモデルと、バレットモデルというものが増えており、さらにメタルマウスピースにもOLD ALTOモデルと NEW ALTOモデル。 SLIM TENORモデルと NEW TENORモデルに分かれています。しかもそれは全てを新しくしたモデルではなく、あくまでチェンバーの呼び方を変えただけだということ。
OLDとSLIMは0番もしくは1番のこと、NEWは2番か3番のこと  と説明されています。。

、、、、ややこしいですね。 笑



作りについて

よく作りの粗いマウスピースと言われますがどういう所が粗いのでしょうか?

たとえば、同じ番号のマウスピースでも、、計ると、、、

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じつは両方110番のはずなのです。笑
結構違います。


そして同じオフセット刻印の同じモデルで比べても、


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テーブルの厚みが違います。







このように作りがバラバラなのです。
奥津マウスピースを見習って欲しいですね。笑
オクツマウスピースは良いですよ!非常に正確です。
選ばずに安心して購入できるマウスピースです。




 
ところで、「作りの粗さ」というものに対して一考すると。

ハンドメイドにしろ、量産品にしろ、工業製品として見た時の作りの粗さを容認したり、多少不完全なところがあっても音が良ければそれで良い 安いからいいじゃないか なんて考えは認めたくありません。そういう不完全な道具では結果が不完全になるのは当たり前の事で、そういうプライドの捨て方はものつくり全体をどんどん悪い方向へ導くし、作り手自身を貶める行為、おのれの腕をヘタクソにする最も効果的方法であると思うのです、、、

楽器にしろ車にしろ、道具に携わるモノすべからく共通する所だと思います。どんなに安くても、それを使うことで、奏法に変なクセがついてしまったとか、走るけど事故ったときの安全は保証できないというのでは、、、、やはり技術者たるもの確固たる矜持をまず持たないと。 と思います。これはリペアに携わる者として自分自身に対して常に語りかけている事でもあります。

と思うのですが、、

今から正反対の事をいいますが、、笑

このマウスピースに限っては、作りの粗さや特徴的な作りが魅力のうちに思えてしまうのです。笑

ベルグラーセンは吹きやすいマウスピースではありません。

音程が良いとか、発音が良いわけではありません。
 
でもベルグラーセンでしか出せない音色がある気がします。

じっさいこのマウスピースを使う人達はとっても個性的で、魅力的な音を出しています。



ちょっと別の話ですが、
ジャズが一番盛んだったというアメリカのある時代。
ラーセンやオットリンクを使うプレーヤーが多かったというのは、当時値段が安かったとか、ありふれていたからということもあると思います。よかったからみんな使っていたというのではなく、それくらいしか選択肢が無かったからということ。 
今でこそ色々な情報の中で、沢山のお店の中から、色々な在庫の中で選んで買う事の出来る時代ですが、サックスだけでなく他の楽器も扱うであろうお店で、50年60年代のアメリカの状況の中で、お金のない駆け出しの黒人ミュージシャンにハイエンドのマウスピースや楽器を買う余裕や色々試させてくれたりする様な環境があったのかというとどうなんでしょう? その時代の、後に偉大なプレーヤーとなるジャイアント達のおかげで、今や音楽に国境や差別は無いという時代になりましたが、こういった道具すら選べない様な環境のなかでこそ生まれたアツい魂だからこそ、生まれた音楽であったりする気がします。 

ラーセン吹きのプレーヤー達を聞いているとそんな風に思えました。

もちろん吹き易くて音程が良くて個性的ならば最高!笑

今回入荷したマウスピースはどれも試奏可能です♫
是非是非お試し下さいませ!
posted by PORTE at 22:40| Comment(0) | マウスピース

2015年10月03日

夏の修理。

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あっと言う間に10月です。


こんなにブログを更新しない店舗のブログというのも珍しいですね、、笑


おかげさまで8月、9月は非常な忙しさでした。




夏はサックス吹きの誰にとっても本番が多い様です。


学生の皆様は夏のコンクール。

大人は皆様は夏のお祭りやジャズフェスや発表会など。

プロの皆様もツアーやフェスや海外のコンクールなど。




だいたい祝休日にイベントがあるので、休みが沢山ある夏は忙しいわけなのですね。 

今年は去年に増して”すみだジャズフェスティバル”に出場されるというお客さまが多くて印象的でした。

このイベントは今年で5回目を迎えるという事ですが、これからもますます盛り上がっていって欲しいです。 
プロ、アマ問わず音楽を愛する人達がみんなで盛り上がっちゃうイベントはとっても好きです。



さて、

本番が多いと、修理の仕事も多くなります。

学生からプロまで、本番を最高の形で迎えたいという気持ちは同じです。

サックスの調整も万全の上で本番にのぞみたいと誰もが思っていると思います。

そして音楽に対してシビアになっていけば行く程、楽器に対しての要求も高くなっていきます。





さらに謎の法則の存在。




それがマーフィーの法則です。

知らない方のためにちょっと解説すると、

マーフィーの法則とは、根拠は全く無いけど、誰もが共感してしまうあるあるネタのことです。

私が好きなのはこんな感じのです。


”切符を買う時、自分の並んだ列がいつも遅い”

”自分が急いでいるときほど、渋滞に巻き込まれる”


など。。



これを楽器に当てはめると。

”本番の前日に限って、楽器を落とす”

”バネが折れるタイミングは前日のリハーサル時”

とか、、、 

根拠はないけど結構あるあるネタのはずです。。笑

そうなんです。。。


なんで!ってくらい楽器を落としたり倒したりするのは本番の直前なのですし、よりによってのタイミングで何かが起きるのです、、、。



普段はそんな事しないのに、一回も落とした事なんて無いのに、大切な本番前に限ってやってしまう。不可抗力。



そんな緊急事態が多発するのも夏の特徴です。




こういう時に日頃メンテナンスに出している楽器とそうでない楽器とでは、対応の早さに大きく差が出てしまいます。

事故がきっかけで持ってきた楽器でも、問題の90%以上は経年劣化によるものだったというパターンも多いです。そういう場合は治さなければならない箇所がとても多くなり、予算も納期もかかってしまうのです。



ポルテではひとつの楽器に対してカルテを作成し、まず楽器の状態を知って頂く事から始まります。

このキーが広いからここの音質が広がる、
とか、
ここのバランスが悪いせいでここから下の低い音がでにくいですよ。
とか、
このガタがあるせいでこことこの音のつながりが悪いのでは?
など


具体的に説明した上で、ご予算や納期の都合を考えて修理の作業内容を決めていきます。



ちなみに見積もり取るだけでも歓迎ですよ!


音程が悪い、音が出にくいといった諸処の問題が、「自分のせい」 なのか 「楽器のせい」 なのかが分かるだけでも、すっきりすると思います。  

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posted by PORTE at 22:30| Comment(0) | 日記