2016年01月27日

キーの開きのはなし

Porteのリペア受付表には、キーの開きの広さをメモする欄があります。



_DSC0405.jpg



_DSC0405 - バージョン 2.jpg





キーの開き具合を重要な要素と考えているからです。






ここでいうキーの開きの広さ というものは トーンホールの端からからパッドまでの距離のことで、



これです下指差し


open.png




この距離のことです。






キーの開きはサックスの調整にあたって、音程、音色、フィンガリング、等等、 様々に絡む重要な要素で、しかも具体的に数値で表すことができる数少ない確かなポイントの一つです。






私はこんな道具を使って計っています。



_DSC0411.jpg




自作の0.5mm単位のゲージです。これを隙間に挟んで大きさを測ります。





例えばレ、ミ、ファの音程が高い、とか、指が届きにくい気がしたりとか。



もし自分の演奏の中にお悩みがあったとしたら、ここをチェックしてみるのも良いかもしれませんね。



ご自分でチェックすることもできますよ!



なんでもいいので固めの紙(名刺とか?)を定規でアルトなら6.0mmとか8.0mmに切って、画像の様に挟んであげれば良いのです。




open.png







さてこのキー開き具合。



メーカーよってモデルによっても違いがありますが、基準があります。





一般的には、
左手の中指で押すキーの下にある、変え指のシ♭の B♭(Bisキー) と 右手の人差し指 F  を計ります。


ここを計ってあとは横から見た時にキーの高さが揃うように調整するのです。
(モデルによっての違いやアルトやテナーの違いや工夫も当然ございます。)




_DSC0406.jpg




一般的な開きの基準値は下記の通りです。



bis F
ソプラノ  4.5 6.5
アルト   6.0 8.0
テナー   6.5 8.5
バリトン  7.5 9.5




あくまで一般的な数値です。 
例えばセルマーの基準値はこれよりも少し大きいです。


アルトを例にすると、左手が5.0だと凄い狭い印象。7.0だとかなり広い印象。 右手が8.0を切ると狭い、9.0だとかなり広い。 


ざっくばらんにそんな感じの印象です。


コンマmmの範囲で調整しますが、印象は人それぞれです。


そんなに敏感で無い方だとしても0.5mm違うと誰でも変わったな!という印象を感じるはずです。1mm違うと確実にどなたでも気がつかれるはずです。





各メーカーの最終組み立て工程では上の画像にある様なゲージをそれぞれ持っていて、計った上でバランスを取っています。



けっこう基準値に厳格に組み立てているメーカー、結構ファジーでまちまちなメーカーもあります。(笑) 




新品なのに、楽器ごとの個体差が激しいメーかーは、このことが一つの要因だったりもします。




ちなみにオランダのクラフトマンは右手の薬指の数値で基準にしていました。リペアマンの考え方や流派によっても違うのです。






ではこの開きが広いと?狭いと?どうなるのでしょう?





開きが広いと、、、

・音は明るくなる 散らかる 鳴る (個人的に明るい、暗いという言い回し、適切でないのであまり使わないのですが便宜上、、、)
・指の運動距離が多くなる
・音程が低くなる(開き加減にもよるし、マウスピースの差し込み加減にもよりますし、トータルのバランスで考えるので一概にはいえませんが、まあ狭いときよりは高くなる。)






開きが狭いと、、、

・音はまとまる こもる 暗くなる 落ち着く
・指の運動距離が少なくなる (フィンがリングはやりやすい)
・音程は低くなる(開き加減にもよるし、マウスピースの差し込み加減にもよりますし、トータルのバランスで考えるので一概にはいえませんが、まあ広いときよりは低くなる。)


こんな感じです。


すごーーく簡単に書いておりますので、少し正確でない表現もございますが、大体でお受け取り下さいませ。






たとえばセルマーをお使いのお客さま。


ヤナギサワ、ヤマハに比べてキーが離れているなあとか、大きいなあと感じる事はございませんか?


やっぱり外人は手がデカいのかな、、なんてつい思ってしまうのですが、、、


じつはセルマーの初期設定はけっこう広めに作られているだけだったりします。
(もちろんセルマーなりに理由があって広くしているのですが、、広すぎるものも多々)


一般的な開き(つまりせまく)に戻してあげれば、そんな印象もなくなり、しかも音も散らからず、中音のピッチ高くなりがちなレ、ミ、ファ、の音程が良くなった。 という事もあります。






楽器が悪いのか、、、自分のせいなのか、、、、わからず悩んでいるお客さまも随分多い事とと思います。

ぜひ! 自分のせいにする前に、楽器のせいにしてみましょう。笑

じつは使っている楽器が極端に狭かったり、、広かったりするかもしれません。








プロでなくては解りづらいような楽器のバランスに比べて、開きは一目瞭然で解ります。

楽器の開きの大きさを知るという事は、

現在の自分の奏法が、楽器にとってどういった状況なのか?

という、普段知りづらい事をする”すべ”でもあるという事です。

もしお使いの楽器が、知らずうちに基準から大きく外れて広くなっていたりして、そのまま練習していたら、

変なクセのある奏法になってしまう恐れもあるのです。








もっと突っ込んで話をすると、







一人一人、使っているマウスピースやリード、奏法が違うように、



それぞれの人が理想とするキーの開きは、奏者とリペアマンとのコミニケーションの中でしか生まれません。









キーの開き数値も含め、過去の調整内容はお客さまごとにデータとして保管しているので、ご来店が重なって楽器のコンディションが良くて、奏者の方向性(mp,リードのセッティングやメインで演奏する音楽性)などが解って来ますと、このキーの開きをお客さまに合わせて提案させていただいたり、試していただいたり、という様な細かなサービスも可能になって参ります。


お悩みの方は是非一度ご相談くださいませ♫











posted by PORTE at 15:56| Comment(0) | リペア
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